Kids Rhythm & Singingのための
歌唱トレーニング

まずはじめに

歌を歌う時に大切なことはいくつかあります。発声や基礎体力作りなどもありますが、曲を歌う際は「この曲をどのように歌いたいか」と計画し、何度歌っても同じように歌えるようになることが大切です。なぜなら、プロの歌手というものは、100回歌って100回とも同じように歌えないといけないからです。そこで使用するのがノートです。ノートに歌詞を書き、ルール通りにマークし計画をすることで、普段のレッスンや家庭での自主練習でもどのように練習をするべきか、歌唱するべきかがわかります。

エイベックスの歌唱メソッドのひとつに、95%以上の方が実践的な歌う力を手に入れた新メソッド 「7 Layers Singing Method (セブンレイヤーズシンギングメソッド)」というものがあります。 この新メソッドの方法に基づき、小さな子どもでも親御さんと一緒にできるような内容で歌を歌う計画をしていきましょう。 作成したノートは、歌ってきた曲が蓄積されていき、講師からのアドバイスや自分の計画などが集まっている「自分だけの特別な歌唱ノート」になります。

基本的な書き方

  1. ノートは見開きで使用します。見開きの左側の1番上に、曲名とアーティスト名(歌手名)を書きます。
  2. 曲名とアーティスト名のすぐ下を1行あけて、歌詞を書いていきます。歌詞を書くときは必ずひらがなで書いていきましょう。(英語の歌詞の場合は英語のままで大丈夫です。)
  3. 書いた歌詞の下を2行あけて、また②からの順番同様に、「1行あけて歌詞をひらがなで書く、2行あける」を繰り返します。この4行のまとまりをルールとして書いていくのがこの新メソッドのポイントのひとつです。図の右側を参考に、歌詞を書いていきましょう。

4カウントでリズムに合わせる

リズムは、音符の長さによって様々なものがあります。その中でも「4カウント」と呼ばれるリズムがあります。4カウントとは、その名の通り、4カウントずつで区切るリズムの取り方です。例えば、「1234(ワン ツー スリー フォー)」と普通にいうと、あまりリズムを感じられませんが、「1・2・3・4(ワン エン ツー エン スリー エン フォー エン)」と、「・」の部分で「エン (&)」ということで4カウントを感じやすくなります。「1234」の部分でクラップをしながら、「ワン エン...」と口に出してみましょう。
規則的なリズムを感じ、歌詞がリズムとリンクしていることを感じましょう。KR1-5

・ノートに書いてみよう ①
〜7 Layers Singing Methodsに基づく、キッズ向け歌唱ノート作成〜

ノートに書いてみよう ①
  1. ①4カウントのマークはスラッシュマーク(/)で表します。
  2. ②曲の初めから「1234、1234...」とカウントし、「1234」毎にスラッシュマークを入れていきます。歌詞が始まるところからではなく、伴奏も含めたところからカウントしてください。KR1-5

アクセントの大切さとは?
〜曲に動きをつける〜

歌が上手な人の特徴はいくつかありますが、中でも「アクセント」はとても大事な要素の一つです。アクセントとは、音の強弱・抑揚のことを指します。歌っていく中で、強弱を意識的につけることで、曲に動きがつきます。 例えば歌を習いたての人に多い、「BPMのはやい曲を歌うと、棒読みになってしまう」といったことも防げます。 
ですが、日本語は英語に比べて、単語一つ一つにアクセントがあまりありません。例えば、日本語を覚えたての外国の方が「こんにちは」と発音しようとすると、「に」にアクセントがついてしまうのを聞いたことがあるかと思います。 それは、逆の立場になった場合でも言えます。例えば、英語を習いたての日本人が「Hello. How are you?」と発音しようとすると、頭でカタカナ英語に変換されてしまい、「ハロー、ハーワーユー」と一本調子になりがちではないでしょうか? そういったことから、私たちはあまりアクセントを大きくつけることに慣れてないといえます。
ですが慣れてないとはいえ、私たちが普段話している時にも自然とアクセントを付けています。例えば、宇宙人のマネをするときは「ワレワレハ ウチュウジンダ」のように同じ音程で棒読みにするかと思います。一方、普通の話し言葉のように声に出すと、抑揚がついて、言葉の意味がより相手に伝わるようになり、全然違った印象になります。
つまり、アクセントには「言葉を聞き取りやすくする=伝わりやすくする」といった効果もあるのです。 J-POPの歌詞の特徴として、洋楽よりもストーリー性があり、比喩や情景描写によって感情を表したり、間接的な言葉を多用するというのが挙げられます。なので、聴く人も歌詞を聴いて理解しようとすることが多いかと思います。
また、アクセントをつけることで曲に動きができるので、「グルーヴ」と呼ばれる「ノリ」のようなものが出て、リズムもよくなります。

・ノートに書いてみよう ②
〜7 Layers Singing Methodsに基づく、キッズ向け歌唱ノート作成〜

ノートに書いてみよう ②
  1. アクセントのマークは「マル(◯)」で表します。
  2. 音程はなしにして、「ラップっぽく」歌ってみます。そうすると、音が大きくなるところがあると思います。そこに丸を付けます。声は無理やり大きくするのではなく、押すように歌うことがポイントです。KV1-3

ブレス(息継ぎ)とは何か?
〜ブレスの重要性〜

  1. ①アクセントのマークは「マル(◯)」で表します。
  2. ②音程はなしにして、「ラップっぽく」歌ってみます。そうすると、音が大きくなるところがあると思います。そこに丸を付けます。声は無理やり大きくするのではなく、押すように歌うことがポイントです。KV1-3

ブレスの種類

ブレスは2種類あり、1つ目は普通のたっぷりと息を吸うブレス(ホールブレス)、2つ目はカンニングブレス(クイックブレス)というものです。ブレス(ホールブレス)は、主にフレーズの最初やフレーズとフレーズの間でたっぷりと息の吸う時間があるときに使われます。
 ブレスマークは、ローマ字の「V(ヴィ)」で表されるのが一般的です。歌詞を書き、ブレスをしたいポイントの歌詞の上にこの「V」マークを書きます。これは、フレーズの最初などにも必ず記載してください。
 一方、カンニングブレスは、フレーズとフレーズの間で余裕を持って息を吸う余裕がない時や、フレーズの中で息が苦しくなった時に素早く吸う必要がある時に使われます。たっぷりと吸うことができないので、その名の通り「カンニングブレス」「クイックブレス」と呼ばれています。
 カンニングブレスマークは、ローマ字の「V」をかっこ()で囲ったもので表します。

ブレスマーク
カンニングブレス

ノートに書いてみよう ③
〜7 Layers Singing Methodsに基づく、キッズ向け歌唱ノート作成〜

ノートに書いてみよう ③

歌詞の上の行に書きます。ブレスをしたいポイント・必要なところに「ブレスマーク」、「クイックブレス」のどちらかのマークを入れてください。まずは、歌いたい曲を何度も聞いて、歌っている歌手の人がどこで息を吸っているかを確認してみてください。わかりにくい場合は、ライブ映像などをみてみると、より分かりやすいです。KV1-4

高い音(裏声)を事前に準備する大切さ

歌を習い始めたばかりの人や子どもの多くは、高い音をきれいに出すことを苦手としている傾向があります。特に、高音は出ていても、曲のキーに沿った音程で歌うことが難しかったり、裏声にするのか地声で張り上げるのか迷ってしまい、直前で音程がふらついたり裏返ってしまったりします。
高い音は気持ちの余裕を持って準備・計画をして、「次のフレーズは裏声で歌う」などと事前にわかっていた方がスムーズに歌唱することができます。
ダンス&ボーカルでは、ダンスに歌と覚えることがたくさんあり、一度にその全てのパフォーマンスを行うため、特に高音は事前に計画・準備をし、その計画通りに練習を繰り返すことで、頭で考えずとも体で覚えて自然にパフォーマンスすることができます。

ノートに書いてみよう ④
〜7 Layers Singing Methodsに基づく、キッズ向け歌唱ノート作成〜

ノートに書いてみよう ④
  1. 歌いたい曲を聞いて、一度歌ってみます。その時に高くて歌いにくいな、と感じたところを簡単にマークします。
  2. もう一度曲を流し、マークしたところに注目して、どこからどこまでが高い音で難しいのかを確認し、図のようなマークを歌詞のすぐ下に記載します。KV1-6

Vowel Singing(母音歌唱)とは?
〜響く大きな声を作る〜

Vowel singing(母音歌唱)は、その名の通り「母音(Vowel)で歌唱する練習方法」を指します。母音とは、「あ い う え お」の5つのことです。日本語の母音以外の全ての音(か行〜わ行まで、んは例外)は、子音と母音がくっついて一つの発音になっています。例えば、「か」は「かー」と伸ばしていくと「あ」という音になります。ローマ字で表してみるとわかりやすいのですが、「か」は「K(子音)」と「A(母音)」で「か」という発音になっています。

なぜ母音のみでの歌唱が良いのかというと、口が自然な形で大きく開く練習ができるので、ボリュームを上げることができます。また、母音を意識することで口が開き、はっきりとひと言ずつ発音する感覚が身に付くため、滑舌もよくなります。滑舌がよくなると、言葉がはっきりと聞こえるようになるので、特にダンス&ボーカルのような、激しく踊ると同時に歌うような時には、言葉を伝えるのは大変になります。更に、母音は有声音で子音は無声音であるため、母音がピッチ(音程)を決めたり、ビブラートなど特殊な歌唱技法をのせるので、普段から母音に注目して練習することは、とても重要です。 また、母音歌唱をすることで共鳴しやすくなります。この場合の共鳴とは、声が骨伝導を通して体の中で響き、音の響きを体で感じ、その感覚に慣れることを指します。この「共鳴する(響きを感じる)」という感覚の中で、幼少期から練習を重ねることで、自然と音感がよくなり、ピッチが安定していくのです。

ノートに書いてみよう ⑤
〜7 Layers Singing Methodsに基づく、キッズ向け歌唱ノート作成〜

ノートに書いてみよう ⑤
  1. ひらがなで書いた歌詞の下の行に、母音のみ「あいうえお」で歌詞を書いてみてください。(わからなくなった時は、その文字を長く伸ばしてみて「あいうえお」どれになるか考えてみると良いでしょう)
  2. あごや顔に力を入れず、自然な状態で、滑らかに母音同士をつなげて歌うようにしてください。KV1-6